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各種プラスチック素材の物理的性質・用途

材質名称 塩化ビニール樹脂 アクリル樹脂 ABS
樹脂
ベークライト
(布系)
MCナイロン PTFE
(フッ素樹脂)
ポリ
カーボネイト
ポリ
プロピレン
ポリエチレン
比重
(g/cm3)
1.45 1.19 1.05 1.35 1.15 2.2 1.2 0.91 0.91
引張強さ
(N/mm2)
56 76 39 45?65 78?96 20?35 63 30 12
アイゾット衝撃強さ
(kJ/m2)
5.9 2 9.8 1.3?2.7 - 4 破断せず 6.9 15
伸び
(%)
100 - 40 0.8?2.0 10?50 200?400 90 50 500?1000
使用限界温度
(℃)
65 90 90 180 120 260 120 120 95
燃焼性 自己消火性 可燃性 可燃性 難燃性 難燃性 難燃性 自己消火性 可燃性 難燃性
曲げ加工温度
(℃)
130 145 125 - - 160 160 100
機械加工性
吸水率
(%)
0.02 0.3 0.35 0.3?1.0 max2.0% 0.01 0.03 0.01
耐酸性 不可 不可
耐アルカリ性 不可 不可
用途
特徴
電線被覆材
ビニール袋

玩具製品
浴室カーテン

カードケース
光通信部品
レンズ
照明器具
水槽
サングラス
看板
弱電機器部品自動車
内外装部品、
玩具雑貨
絶縁材料
電気通信機器部品等
歯車・ローラー軸受・車輪
食品機器
パッキン
ガスケット
電気絶縁材料

フライパン
CD
哺乳瓶
カバー
耐衝撃窓

防弾窓
梱包バンド
食品容器
ダクト
雑貨成型品
繊維材料
ポリバケツ
ガス・下水道管等用パイプ ビールケース
コンビニ袋
タッパーウェア




丸棒
パイプ × × × ×
角棒 × × × × × × ×
板材 ×

    凡例  一般的に流通しており入手が容易  ○:一般的に流通  △:入手困難  ×:流通していない



押出し成型品と注型成型品の違いについて
一般的に販売されているアクリル素材は、ソーセージ作りのように、
ノズルから樹脂が押し出されて成形された押出し成型品と、
金型に樹脂を流し込んで固めた注型品(キャスト品)があります。


押出し品の利点は、軟らかい状態の樹脂を力(ローラー・ノズル)で成型するため、
樹脂が固まるのに掛かる時間が短く、製造コストも掛からず、結果的に商品価格も安くあがります。

欠点と致しましては、成型時に力で成型するため、完成後の製品にもストレスが残留しており、
時間が経つにつれ徐々に残留ストレスが発散され、材料が変形したり細かいひび割れ等が発生したりします。
(水槽等のアクリル製品でも、安価な物と高価な物がありますが、安価な物は全て押出し品で製造されてます)


注型品(キャスト品)の利点は、完全に液体の樹脂を金型に流し込み、
時間を掛けて凝固・成型を行うため、ほとんどストレスが残留せず、本来の分子構造を構成するため、
アクリル樹脂本来の優れた性能を発揮させることが可能です。

欠点と致しましては、成型に金型を使い(1つの製品に1つの型)、
樹脂が完全に固まるまで時間を掛けるため、結果的に高価な物になってしまいます。



  塩化ビニール(PVC)
 塩化ビニール樹脂は、プラスチックの中でも歴史の古い材質で、
 日本では1944年頃から工業生産が始められました。

 この頃の生産方法は、石炭と石灰石からカーバイトを作り、
 海水を電気分解して塩素を作用させて生産されていました。
 現在では、石油から採れるエチレンと塩素を合成する方法がとられています。

 他の樹脂は原料が100%前後が石油なのに対し、
 塩化ビニール樹脂は、主原料が石油と海水(塩)で製造されています。
 おおよそ6割が塩で生産出来る、プラスチックの中では省資源な材質といえます。

 この樹脂の特徴は、耐薬品性・難燃性・耐候性・低価格性と利点はたくさんあるのですが、
 最大の特徴は可塑剤という薬品を添加することによって、樹脂の硬さを自由に変えられることです。
 この硬さを変えられるという特性により、実に様々な用途への応用が可能となっています。

 塩化ビニール樹脂は、熱可塑性樹脂で熱をかけることにより容易に変形させることが可能です。
 また、耐候性も高く、屋外で使用するにも適しています。
 雨樋にも最も多く採用されているとおり、コスト・耐久性共に抜群の性能を持っていますので、
 屋外で使用する材質として、お勧め出来る材質です。
  アクリル樹脂(MMA、PMMA)
アクリル樹脂は、1929年にドイツで工業生産化された塩ビより古い樹脂です。
別名「有機ガラス」とか「風防ガラス」と呼ばれていたくらいで、
当時、航空機の窓ガラスに使われ、時代背景から軍需物資扱いの樹脂でした。


アクリル樹脂(メタクリル樹脂)の最大の特徴は、強度と透明度です。
身近な所でこの特徴を生かして使われているのは水族館の巨大水槽。
何千トンという大量の水を支えつつ、綺麗な海の中をクリアーに見せるのはアクリル樹脂ならでは。

ガラスでは熱して加工するという制約から極端に大きな物や、
曲がった形状の物を製造するのは困難ですが、アクリル樹脂は透明度・強度を保ったまま
板同士を面接着することが可能で軽量ですから、巨大なトンネル状の水槽を作ることが可能です。


アクリル樹脂の接合方法は、厳密に言うと一般的な接着方法とは多少違います。
具体的に説明しますと、接着剤は接着剤自体が2つの材料をつなげる役目をしますが、
アクリル樹脂の場合は専用の溶剤を使い、アクリル樹脂同士を溶かして目的の材料同士を
直接つなげる方法をとりますので、必ず専用の接着剤(溶剤)をご利用下さい。


平面同士の接着は容易ですが、切削面を接着する場合は仕上がりにご注意下さい。
隙間がありますと溶剤が揮発した後も、隙間は隙間のままとなってしまいます。


アクリル樹脂は熱可塑性樹脂の為、加熱することにより容易に曲げ加工を行うことが出来ます。
また、適度な硬度を持ち非常に加工しやすい材質で、日曜大工に適していると言えます。
他の樹脂にない特徴として、染色液を使用することにより容易に着色することが可能です。
  ABS樹脂
ポリスチレンの耐衝撃性を改善するべく開発された樹脂。
日本では1960年頃から工業的に生産されています。

ABS樹脂は汎用樹脂の中では、最もポピュラーな材質で
電気製品等のの外装に多く使用されています。


大きな欠点がないプラスチックのため用途は広く、
またメッキが可能なため金属の代替品としてもよく使用されています。
金物においても使用は多く、機能品から装飾品まで幅広く使用しています。


ABSはゴム成分であるブタジエンとポリスチレンを
科学的に結合すなわち「共重合」させています。
その際、アクリルニトリルも一緒に共重合させると、
硬さ・耐熱性・耐薬品性が向上します。
こうして出来たのがABS樹脂です。

ABSという名称は、アクリロニトリル(A)、ブタジエン(B)、スチレン(S)の
頭文字を取って命名されました。


ABS樹脂は、基本的に着色されていて不透明です。
  ベークライト・フェノール樹脂(PEM、FLE
フェノール樹脂は、セルロイドに次ぐ古いプラスチックで1909年に生産開始されました。
ベークライトという名称は、開発者ベークランド博士の付けた商品名です。

この材料は優れた電気絶縁性と耐熱性、成形加工性を生かし、
開発当時急速に拡大しつつあった電機産業に支えられる形で、
また逆に電気の普及を助ける形でその需要を拡大していきました。


透明で赤褐色をしたこの材料は、その外観が天然の樹脂ににていることから、
我が国ではこれを合成樹脂と呼ぶようになり、
プラスチックの一般名称として用いるようになりました。


現在では他のプラスチックにその座を譲っていますが、
電気絶縁部品・積層品・接着剤・成型品(鍋の取手)として
開発されて100年近く経ちますが、今でも現役で活躍しています。


加工性も良いので日曜大工に適していますが、
加工面が吸湿性を持つので、水の掛からない部分に用いるなどの配慮が必要です。
  MCナイロン(MCN)
MCナイロンは、主原料ナイロンモノマーを大気圧下で重合・成型することで
ナイロンの特性を向上させ、射出成形や押出成形品にはない優れた特長をもっています。


耐摩耗性・自己潤滑性に優れ、エンジニアリング・プラスチックとして
最も幅広く使用可能な材料で、大型の素材を容易に入手可能。

添加剤を配合することにより、潤滑性・耐熱性・導電性・抗菌性を強化することが出来る。

MCナイロンは、日本ポリペンコ社の製品(商品名)です。
詳しくは、日本ポリペンコ社HPをご覧下さい。
  PTFE(フッ素樹脂・ポリ四フッ化エチレン
良く知られた名称で、テフロンと呼ばれている樹脂です。
テフロンとはデュポン社のふっ素樹脂の商標です。

フッ素樹脂とは、化学的にいうと、「パラフィン型の分子構造を持った熱可塑性樹脂で、
水素の一部または全部がフッ素に置換されたもの」となります。
特徴は、熱に強く(PTFEの連続使用温度は260℃)、また寒さにも強く(液体窒素中も大丈夫)、
薬品に強く、非粘着性を持ち、滑りやすい特徴を生かしてフライパンの表面に用いられます。

自己潤滑性も良く、厳しい環境で使われるベアリング等にも用いられます。

加工性は良いですが、フッ素樹脂の接着加工は一般に困難です。
  ポリカーボネイト(PC)
ポリカーボネイトは、アメリカからの技術導入により1960年頃より生産開始されました。

材料の特徴は、衝撃に対して強いこと、耐熱・耐低温性が良いこと、
環境の変化に対して成型品の精度が安定していること、その他耐候性に優れ、
自己消火性があること、そして透明度が高いことなどがあげられます。

この材料の知名度は低く、知らない方の方が多いと思われますが、
哺乳瓶・目薬容器・防護メガネ・CD・耐衝撃窓等、生活に近いところに多く使用されています。

板厚25mmにした物は、銃弾をくい止めることから防弾ガラスとして射撃場の窓や
機動隊の盾、装甲車の窓にも使用されているほどです。


この材料でつくられた製品は落下したくらいでは壊れず、ハンマーで叩いても割れずに
金属材料のように延びる性質を持っています。
衝撃に対する強さを数値で比較すると、ABS樹脂の約5倍、塩化ビニール樹脂の約10倍、
ポリスチレンやアクリル樹脂の50倍にも達し、プラスチック材料の中で群を抜いて
耐衝撃性が高いことが分かります。


日曜大工での利用法は、板材を屋根やフェンスに取り付けて使用するなどが考えられます。
  ポリプロピレン(PP)
ポリプロピレンは1962年に日本に技術導入され生産されるようになりました。

ポリプロピレンは当初衣類用繊維として用いられていましたが、
着色性をはじめいくつかの問題点があることから、後に不織布や合成紙などとして用いられてきました。
1992年頃より射出成型品やフィルム・パイプなどの生産量が塩化ビニル樹脂を抜き、
ポリエチレンに次ぐ国内生産量第2位の座を占めるようになりました。

ポリプロピレン製品の外観や感触は硬質ポリエチレンと似ていて見分けにくいのですが、
性質で区別すると幾つかの違いが見られます。

まず比重ですが、硬質ポリエチレンが0.96なのに対し、ポリプロピレンは0.9。
これはプラスチックの中で最も軽いポリメチルペンテンの0.83に次ぐ軽さです。

軽いということは材料にとり大きなメリットとなります。
使用材料が軽ければ製品の軽量化が可能で、軽ければ移動に要するエネルギーも少なくて済みます。
このためビールケースをはじめ大小様々な輸送容器類が作られています。
また、自動車部品としてバンパーなど、従来の金属材料に代わって多用されることにより、
車体の軽量化が可能となり、結果として燃費の向上が達成されました。
  ポリエチレン(PE)

硬質ポリエチレンは1959年にドイツから技術導入され工業生産が開始されました。

日常生活の中で最も目にふれるプラスチックのひとつです。
乳白色で、軽く柔らかで、衝撃音の低いこの材料は、それまでの材料では作ることの出来なかった
優れた製品を数多く世に送り出し、今では樹脂使用量のトップを誇っています。

ポリエチレンは水や油、そして薬品にも強く、成型加工性に優れ軟質から硬質まで様々な材種があり、
薄くすれば透明に近くなり内容物が見え、厚くすると剛性の必要な製品にすることも出来るといったように、
極めて幅広い製品分野への応用が可能で、フィルムや日用品だけでなく電線被覆や工業部品、
発泡させて断熱材などにも利用されています。

安価で加工性も良く、日曜大工で使いやすい材質です。
但し強度が低いので、簡単な部品や強度を求められない箇所に使用するなど配慮が必要です。